アルメン Torsten Almén
経歴と業績

アルメン(Torsten Almén, 1931-2016)[3]
1958年,スウェーデンのLund大学を卒業,放射線診断学を専攻し,主に血管造影の臨床,研究に携ったが,特に血管造影時の血管痛に大きな関心を持った.血管造影の際,生理食塩水を注入しても痛みがないこと,海水浴をした際に海水が目に入ると痛かったが,故郷Ystadの汽水で泳いだ時は痛くなかったことから,血管痛と浸透圧の関係を思いついたという[1].
1967~8年,米国Temple大学の訪問教授として,動物実験によりこの関係を証明するとともに,化学書を買い込んで知識を蓄え,新しい構造の低浸透圧性造影剤の開発を志した.この提案は大手製薬会社に次々と断られたが,ノルウェーの小さな製薬会社Nyegaard社だけが共同開発に応じ,1969年,全く新しい非イオン性造影剤Metrizamideが誕生した.
Alménはその後も精力的に新しいヨード造影剤,MRIのガドリニウム造影剤,様々な医療器械の開発に携わるとともに,1986年からはLund大学放射線科教授として,多くの放射線科医,研究者を育成した.ピアノ,オーボエを巧みに演奏する音楽愛好家でもあった[1,2].
出典
- 1. Nyman U, Ekberg O, Aspelin P. Torsten Almén (1931-2016): the father of non-ionic iodine contrast media. Acta Radiol 57:1072-78,2016
- 2. Ekberg O, Aspelin P, Boijsen E, Nyman U. In memoriam: Torsten Almén. Radiology. (Sep 19 2016) https://doi.org/10.1148/radiol.2016164025
- 3. Torsten Almén at ECR in Vienna 2009. Photo by Mattias Kristiansson (CC BY-SA 4.0)