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ボカージュ André Bocageflag

経歴と業績

ボカージュ(André Bocage, 1892-1953) [4]


1892年,パリに生れ,1909年に医学部に入学,皮膚科医となった.大学院在学中の1914年,第一次世界大戦開戦とともに徴兵され,その後軍医として前線に赴いたがチフスに罹患し療養後,1916年から短期間,放射線医学のトレーニングを受けて放射線部門に異動し,ここで断層撮影の原理を発明した.終戦後,研究生活を再開し1925年,脳脊髄液中のアルブミンの研究で学位を得た.

この間,断層撮影法のアイデアについてメーカーに製造を持ちかけ,1921年にその薦めで特許を取得したものの,有用性を理解されず実機製造には至らなかった.1924年には継続特許料の支払い困難のため,特許は消失した.Bocageは断層撮影の研究を中断したが,その後Vallebona,Ziedses des Plantes,Grossmannらが事実上独立に断層撮影の研究を進め,1930年代になると実用的な装置が市販されるようになった.1938年,Bocageも再びMassiot社に協力して立位断層撮影装置Biotomeを開発した.

本来は皮膚科臨床医であるBocageの研究はこれにとどまらず,皮膚科学,梅毒学,血液学などの領域に多彩な業績を残したが,第二次世界大戦では再び軍医として徴用され,1940年に重傷を負った後は健康を害し,戦後は長い療養生活を強いられた[1-3].

 

出典