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セルディンガー

経歴と業績

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セルディンガー(Sven-Ivar Seldinger, 1921-88)[1]

セルディンガー(Sven-Ivar Seldinger, 1921-98)は,スウェーデンの小さな町モラに生まれ,1940年にカロリンスカ大学医学部に入学,1948年から放射線医学を専攻した.1952年,セルディンガー法 を発明したのは,まだ放射線科のレジデントの時であった.血管腔に太いカテーテルを挿入する方法をあれこれ試みたもののうまく行かず考えあぐねていたところ,手にしていた3つの器材ー 針,ワイヤ,カテーテル ーを眺めていて,突然アイデアが閃いたという.そのあまりに実際的な内容から学位論文には不適とされ,結局セルディンガーはこの手技を経皮経肝胆管造影(PTC)に応用した1966年の論文で学位を取得したが,その頃既にセルディンガー法は世界中で広く行なわれていた.

翌1967年大学を辞して故郷モラの町に戻り,地元の小さな病院で1986年の退職まで第一線の放射線科医として活躍した[1,2].1984年,AJR誌に掲載された特集記事 "A Tribute to Sven-Ivar Seldinger" (セルディンガーへの賛辞)[1]で,血管造影の第一人者エイブラムス(Herbert Abrams)は「診断学の舞台で血管造影が端役から主役に躍り出るにあたって,セルディンガーが開発した技術ほど貢献したものはない」と述べている.

出典