人物篇 > 放射線技術 > ブッキー

前項目  目次  次項目

ブッキー Gustav Buckyflag

経歴と業績

portrait-bucky(cutout)

ブッキー(Gustav Bucky, 1880-1963) [3]

1880年,ドイツのLeipzigに生まれた.エンジニアを志したが,両親の強い希望でGeneva,Leipzigの大学に医学を学び,1907年にパラチフスの研究で学位を取得した.在学中より写真術やそのX線医学への応用に興味をもっていた.1910~23年,ベルリン大学で放射線科医として研究,診療に当たり,この間にX線写真の画質を低下させる散乱線を除去するグリッド,いわゆるBuckyグリッドを発明して特許を取得した.1923年にアメリカに移住.1930~1933年にはベルリンに戻ってRudolph Virchow Hospitalの放射線部門責任者を務めたが,その後は主にニューヨークの病院で放射線診療に従事した.

Buckyグリッドは,その後アメリカのPotterが改良を加え,Potter-Buckyグリッドとして広く普及した.しかし第一次世界大戦におけるドイツ敗戦に伴いBuckyがドイツで取得した特許は没収され,Buckyは経済的恩恵に与ることはできなかった.Albert Einsteinと親交が深く,Buckyが特許をめぐる紛争に巻込まれた際にはEinsteinが支援の手を差し延べ,BuckyはEinsteinの妻Elsaの晩年の治療に尽力し,Einsteinの死にも立ち会った[1,2].


出典